The オペラ て感じ
お知らせ
“G.Verdi: La Traviata – III. Act – Gypsy Chorus “Noi siamo zingarelle” edited excerpts” を YouTube で見る
それなりの歌
オペラは、オペラ1本を通して、演出家や指揮者、共演者達と渡りあって、揉まれて、その人個人が作り上げられるもの。
それを私は、オペラアリアしか歌わず、技術だけ磨いても、しかも日本人、一生それなりにしか歌えないと思います。
それでも、本物がどう作り上げて行かれるのかぐらいは知っているので、『知っている』それが宝かなあと思います。
後々の私の人生の中で、今こう感じた事が、どう活きてくるのか、と思います。
本番の恐怖
竹村さん :「本番はどうだったの?」
私 :「もうバグバグしながら歌った」
竹村さん :「恐かったんだ」
私 :「うん、凄く… 凄く恐かったの…」
実は録音の日に久しぶりに会った竹村さんとの会話で、このやり取りだけで、心がほっとしました。
この1ヶ月、今までの本番とは全く、全然違って、恐怖と闘っていました。
レッスンに行けなくなるほど。
レッスンが結構本番直前だったから、レッスンで失敗してしまったら、もうあまりの恐怖で本番当日ホールへ行けなくなったら困るから。
最後のレッスンで、何かを掴もうと思って、先生にすがるような想いでレッスンに行く人もいるかもしれないけれど、私は、違ったのでした。
こんな気持ちになったのも、初めてです。
そして、本番では震えながら歌ってしまいました。
余裕のない歌。
そんな歌でも、お客様は感激してくださって、涙が出たとも言ってくれて、あんな拙い歌でも、涙を流してくれるのですね…。
拙い歌だったけど、何かが伝わったんですね。
歌が上手いから、人が感動するのとは違うのですね。
でも、私は専門家、私の歌の先生も世界の耳を持った人です。
なので、冷静に受け止めなくてはいけません。
もう切り替えないと…
本番前の愚痴メールに、本番前日の心ないメッセージ。
みんなプロだろうにどうして解らないんだろう?
きっと、そんな不運な事が本番前に起こる、て言うのは、多分、厄落としだったのかな?
それから、私もここ1年間は、不平不満が多かったから、あまりいい言葉を人に吐かなかったから…。
思っても口にしてはいけなかったのに…。
口にしても、私の気持ちは誰も解らなかったし。
ほんとに寂しかった…。
何処かへ行きたいなあと思うけど、行く宛もないし…。
早く次へ向かわないと行けないのに…。
早く切り替えなくちゃ。
明日も大変なのに…。
歌う者の心
歌う人の気持ちは、その本人にしかわからない。
だから、今度から、どんなにプレッシャーがかかって不安が襲ってきても、自分で乗り越えよう。
人から優しい励ましの言葉が欲しかったり、
自分の不安な気持ちを誰かにぶつけても、誰もわからないみたい。
だから、自分でその不安も全て受け止め、自分で乗り越えよう。
一つの本番が終わっても、欲しい人からの労いの言葉も、慰めも、なんにもない。
自分自身でも、あんなに頑張ったのに、本番直後に先ずは自分で自分にダメ出しして、頑張った自分を自分で慰めもしなければ、労いもしない。ダメ出しして、ダメだったところばっかり自分を責めて、悔やんで、考えてみたら、可哀想過ぎました。
結果はどうあれ、ほんとに頑張ったのは確かなのだから、それは自分だけがちゃんと知っているのだから、先ずは自分で自分にご苦労様を言って、頑張った自分を誉めてあげても良かったかも?
とにかく、歌う者の気持ちは、その本人にしか絶対に解らないもののようです。