90歳のピアノ教師であるシーモアバーンスタイン。

かつては、10代から世界の一流ピアニストとして活躍していました。演奏家でした。

『自分の演奏に満足感を覚えたのは50歳になった頃、伝えたい事を舞台で表現できるまでに、それだけの時間を要した。50歳になった時、誰にも内緒で、引退コンサートを決めた。』

シーモアバーンスタイン本人の言葉。

私の歌の先生も言ってました。

自分の演奏に満足をした時が、歌手を辞める時。

それなのに、一度、私は「今日の演奏には満足」て言ってしまったのでした。

「そしたら先生が、自分の演奏に満足してしまったら、もう辞める時だよ」と仰って、

私はそこで、「えー、一回くらい満足したいなあ。」て、抵抗したのでした。

先生は首を横に振るばかり。

恐らく私は、本当に満足したのではなく、物凄くがんばったから、一つの事をやり終えた達成感で嬉しかったのだと思います。

お客様がどんなに称賛してくれても、本当に心底自分では納得のいかない演奏もあるわけですから。

でも、なんだか振り返ったら、自分は可愛らしかったなあと思って懐かしいです。