ベッリーニの『Malinconia, ninfa gentile. 』『憂愁, 優しい妖精』 は、精神論の歌なのです
イタリアものといえば、いつも恋愛、失恋、人を愛する事の苦しみなどを歌っている世俗的な物が多い中、憂愁を擬人化して見たて、憂鬱(私)は森や泉、丘、等、自然から得る喜びを感じる事ができる
そういったものを蔑ろにする者は
元々その喜びを感じるようには生まれついていないのだ
このMalinconiaとは、憂鬱、憂愁、憂い、という意味ですが、この歌の中では擬人化されておりMalinconia を『私は』と呼びます
この世の儚さや、目に見えないもの、手に触れられないものを感じる事ができる私(憂愁)は喜びを知っている
詰まり、山や、泉、という自然や、森に住む妖精を感じる喜びを憂愁(私)は知っている
それを越える喜びは他にはない、と歌います
人生を諦観した詩であり、複数の泉(比喩)を神に求め、その結果与えられた一つの泉に満足して生きるであろう、と歌います
最後は
全てを受け入れる、と言わんばかりに
『甘んじてそれから逃げる事は決して致しません』と情熱的に何度も繰り返される
まさしく精神論の歌です