マリエッラ・デヴィーア
ソプラノリサイタルへ出かけてきました。
デヴィーアさんは、イタリア・ベルカント唱法の正統な伝統を受け継ぐ言わば、ベルカントの神様みたいな素晴らしい歌手です。
イタリアを代表するトランペット奏者で、亡き夫サンドロ・ベルザーリの指導の下、独自のボカリゼーションを開発、天性の資質とたゆまぬ努力で見事に大輪の花を開花させた。とプロフィールにありますが、『独自のボカリゼーションを開発』と言うのが素晴らしいと思います。聞いた話では、身体も小柄なそうで、身長150?くらいしかないそうです。そんな彼女が声を沢山出すには、やはり声がよく響く事が重要になってきます。それには、やはり如何に正しい発声を身につけるか!にかかってきます。元々、声は素晴らしい天性のものを持っています。それに加え、『たゆまぬ努力』とありました。毎日、声を鍛えたと思います。
そして、決して無理はしません。歌い過ぎたり、歌わなかったりは、しないのだと思います。疲れたら休み、自分の声と身体を大切にしながら、コツコツ、コツコツと毎日鍛えた声だと思います。
物凄くなめらかで、低音から高音に上がる時も、あまりにも自然で、プログラムの中の曲の説明の中にも、低音から三点ハ音(high Ce)まで一気に飛躍すると書いてあったので、それを聞こうと思って構えていたのに、あまりにも自然過ぎて、いつ上がったのかがわからなかったくらい、自然に難なく、high Ceを綺麗に出してたみたいで、high Ce じゃないみたいに思ってしまいます。また年齢も、デビューして40年と言いますから、恐らく年齢は、60歳を越えて、70歳に近いかもしれません。普通はみんなそのような年齢になると引退しますが、彼女は現役オペラ歌手として歌っておりますし、キラキラと輝いた声で歌っておられます。
発声がいいと、衰える事なく、年齢を感じさせずに歌う事ができるのだなあと思います。
高音域も中音域も、上から下までむらなく響く豊かで美しい音色、これは、どんなに訓練のいる事か。そして音楽性。全てを兼ね備えているソプラノ歌手です。彼女は、もの凄く上品で誠実な歌を歌います。
歌い方から、大スターでありながら、とても謙虚で、決して自分のオーラをひけらかさない、そういう方のように伺えます。
私は、この方の歌い方と、雰囲気がとても好きです。CDもほとんど出てなくて、1枚だけ持っているCDを何回も何回も聴いて、また今日、生でいろいろと感じながら聞けた事、貴重な時間を過ごしました。一生の思い出になると思います。